蹴球雑事記

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開始20分で4-2-3-1から4-3-3に布陣変更したナポリの修正力【スーペルコッパ】

前半は堅い試合となったユベントスナポリのスーペルコッパ。そのような展開になったのはガットゥーゾが構築したナポリの強固な守備があったからでしょう。

・試合開始時~前半20分あたりまで、ユーベ攻撃時の布陣

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ナポリの試合開始時のフォーメーションは4-2-3-1。ユーベがベンタンクールの1アンカーで臨むことを予想し、トップ下のジエリンスキにマークを付かせるプランで臨みました。しかし、ふたを開けてみると、ユーベはアルトゥールとベンタンクールの2ボランチでビルドアップ。ジエリンスキはプラン通りベンタンクールに付き、アルトゥールには2ボランチの一角のデンメが一列上がって対応しました。

しかし、バランスの悪さは否めず、中盤でフリーになったユーベの選手を左SBのマリオルイが見るシーンがあるなど、安定感を欠く陣形となってしまいました。

・前半20分~、ユーベ攻撃時

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そこで、前半20分前後からフォーメーションを明確に変更。デンメ、バカヨコ、ジエリンスキを3枚並べてマークをはっきりさせました。これによってユーベの中盤の選手に仕事をさせず、攻撃を停滞させることに成功しました。また、守備時のみでなく、攻撃時も4-3-3の形だったので前半20分で明確に布陣を変化させたことがわかります。

これが試合中のガットゥーゾの指示によるものなのか、試合前にプランを立てていたのか分かりませんが、どちらにしても前半の中盤という難しいタイミングで、チーム全体で崩れることなくフォーメーションを変更したナポリの修正力に驚かされた一戦となりました。

新しいビルドアップの形を披露したミラン【カリアリ戦レビュー】

普段は4-2-3-1のフォーメーション通り、2ボランチが並ぶ形でビルドアップを行っているミランですが、カリアリ戦ではビルドアップ時に限ってトナーリがアンカー、その前にケシエとブラヒムが並ぶ4-3-3の形になっていました。

ミランビルドアップ時の布陣

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カリアリのフォーメーションはクリスマスツリー型の4-3-2-1。カリアリが準備してきた守備は、2シャドーのペレイロジョアンペドロにミランの2ボランチをマークさせ、3ボランチの左右のダンカンとマリンにミランのSBをマークさせる形だったと思います。

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しかし、ふたを開けてみると、ビルドアップ時に限ってケシエは一列上がってブラヒムと並ぶ形に。これによってトナーリはペレイロジョアンペドロの中間に宙ぶらりんの状態でポジションを取ることができ、カリアリのアンカーのナインゴランはケシエとブラヒムの2人を見なければならなくなり、中盤で数的優位を作りだすことに成功しました。

これがピオーリの狙いだったとすれば一見うまくいったように見えますが、実際この試合のミランはビルドアップに苦戦していました。その理由はSBにボールが渡った際のボランチのサポートが不足していたからです。

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普段SBにボールが渡った際には2ボランチのどちらかが横のサポートに入ります。ボランチが2枚いると、サイドへのサポートにすぐに入れる利点があります。ところがこの日のサポート役はトナーリ1枚だったため、必然的にサイドへのサポートが遅くなり、SBの選手が孤立してロングボールを前線に蹴り出すシーンが多くなりました。

SBにボールが渡った際にトナーリがサポートに入るのではなく、ブラヒムやケシエが下りてきてサポートに入ればこの問題は解決できるのですが、そのような形はほとんど見られませんでした。この新しいビルドアップの形がカリアリ対策のものだったのか、それとも次のアタランタ戦もこれを試すのか興味深いところです。

中盤が「空洞化」して攻撃が機能しなかったフォンセカ・ローマ【ローマダービー】

個人的には見応えのある一戦だったローマダービー。特にラツィオの出来は素晴らしく、CLラウンド16でバイエルンを食えるのではないかと期待できるほどでした。

一方でローマは前線に人数を掛けながらも、ちぐはぐな攻撃に終始した印象。逆に言えば、「前線に人数を掛けすぎて」攻撃が機能しなかったのです。

・ローマ基本形

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・ローマ攻撃時の布陣

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ローマの基本形は3バックですが、攻撃時には2ボランチの一角のビジャールが最終ラインに下り、マンチーニとイバニェスがサイドに開いて4バックの形に変化します。両ウイングバックのスピナッツォーラとカルスドルフはサイドの高い位置にポジションを取り、ムヒタリアン、ジェコ、ペッレグリーニと5レーンを形成します。2ボランチのもう1枚のヴェレトゥはトップ下のような役割を与えられて5レーンの誰かが引いてきた際にそのスペースに飛び込むなど、精力的に動き回ります。

しかし、最終ラインと最前線に人数を掛けたこの布陣は中盤に「空洞」を生み出してしまい、中盤を省略したロングボール主体の攻撃が増えてしまいます。

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ペッレグリーニ(#7)が下りてボールを受けるシーンですが、中央のスペースにローマの選手は誰もいません。こうなるとペッレグリーニの選択肢はジェコへのロングボールか右サイドに開いているカルスドルフへのパスのみとなってしまいます。さらに、カルスドルフに展開したとしても、カルスドルフの近くに味方の選手はいないので、サイドで孤立してボールを失うか、バックパスで攻撃をやり直す未来しか見えないわけです。実際はこの後ジェコへのロングボールを選択しています。

このように中盤が空洞と化したことによってロングボール主体の攻撃となり、5レーンで前線に人数を掛けているにも関わらず、攻撃の枚数が生かされていませんでした。また、サイドでパスを回しても中盤の選手がいないので中央へのパスコースがなく、孤立する場面が多かった印象です。

ローマの攻撃はハマると面白いのですが、今回はラツィオの出来がよかったこともあり、攻撃的な姿勢が空回りしたゲームとなってしまいました。

FC東京がこの冬に補強するべきポジション

隣の芝生は青く見える。他のチームが着々と補強を進める中、新加入選手がたった3人でひやひやしてる東京ファンです。ただ、例年1月中盤から2月頭にかけて何人か連れてくるので、まだ何人か補強してくれると思います(心配)。

ということで1ファン・サポーターとしてこのポジションは補強してくれという部分を挙げていきます。

・CB

オマリの退団によって主力は森重と渡辺の2人のみに。丹羽(契約未更新1/14時点)、岡崎はいますが、心もとない。しかも、今季の終盤は森重アンカーという奇策を打っているため、森重がボランチ起用されることも考慮すると駒が足りなすぎる。スタメンを任せられるような大物が欲しい一番の補強ポイント。

・左SB

昨季は小川と中村帆高で回したが、中村帆高と拓海の二人で右SBを回すと考えると、小川の控え、もしくは小川を脅かすくらいの選手が欲しいところ。バングナーガンデの台頭に賭けるという選択肢もある。パラとかどうでしょう。長友来ないかな(笑)

とりあえずこんなところでしょうか。高望みはしません。徳島の小西雄大さん、うちに来て欲しかったなぁ(高望み)

ピルロ・ユーベの「流動的」な攻撃に粉砕されたミラン

ついにリーグ戦での無敗途絶える。イブラが怪我してから負けてもおかしくない試合は何度もありましたが、ユベントスにはまさしく「力の差」を見せつけられた印象があります。

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ユベントス攻撃時、ミラン守備時の基本布陣です。ミランはいつも通りマンツーマンでのプレス。ユーベは攻撃時には3バックを形成し、レジスタにベンタンクールが入りました。

ミランのマンツーマン時のマークですが、カスティジェホとハウゲの両サイドハーフをユーベの3バックのサイドに当て、レオンがボヌッチ、チャルハノールがベンタンクールを見る形。ワイドに開くキエーザとフラボッタは両SBがマークします。ラムジーとラビオのインサイドハーフは、急遽ボランチ起用となったカラブリアとケシエがマーク。ロナウド・ディバラの2トップには両CBが付きます。

結論から言えば、この試合のマンツーマンはほとんど機能しませんでした。まず、レジスタのベンタンクールは機を見て最終ラインに落ち、それと入れ替わるようにボヌッチレジスタのポジションに上がる場面が何度かありました。これによってレオンとチャルハノールのマークにずれが生じました。

さらに、2トップのロナウドとディバラは前線に張らずに中盤まで下りてきて組み立てに参加。2トップのマークはCBなので、あまりポジションを離れることができず、ロナウドとディバラをマークできません。フリーになった2トップをボランチのケシエやカラブリアが捕まえる場面もありましたが、そうすると今度はラムジーやラビオがフリーになっています。

ラムジーやラビオは中盤でのパス回しに参加しながらも、2トップが空けたスペースに走り込んで裏抜けの動きを見せます。ラムジーとラビオには両ボランチが付いていきますが、裏への抜け出しについては当然動き出しが速い攻撃側のほうが有利なので後手後手の対応になってしまいます。もし、ケアーとロマニョーリの2CBがロナウドとディバラを気にせずにブロックを組んでいれば容易に対応できるのですが、マンツーマンの弊害が出てユーベの両インサイドハーフの動き出しに苦しめられました。総括すると、マンツーマンのディフェンスがユーベの攻撃に対して相性が悪かったといった印象。

ピルロは試合を通してポジションを流動的に動かし、ミランのマンツーマン守備を完全に崩壊させて試合を支配することに成功しました。これがユーベが完勝した大きな要因だったと思います。

 

【1シーン解説】コンテ・インテルの攻撃戦術

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今回はインテル対クロトーネ戦から、このワンシーンを切り取ってコンテの攻撃戦術を紹介していきます。

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インテル1点目のシーン。ボールの位置がわかりずらいですが、#95バストーニが奥のブロゾビッチにパスを出し、ブロゾビッチがルカクに縦パスを入れる場面です。

コンテの攻撃戦術はいかに2トップにパスを届けるかを考えています。2トップにパスを入れるためには敵が密集している中央に縦パスを入れなければなりません。

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ですから、このように両ウイングバックだけでなく、バレッラとビダルの両インサイドハーフもワイドに開いて相手のマークを引き付けます。こうすることによって中央のスペースが空き、2トップへのパスコースが作れるわけです。

今回はクロトーネの守備がマンマーク気味だったため、ワイドに開いたバレッラとビダルに引き付けられていますが、中央を固める相手だった場合は逆に数的優位になっているサイドを崩してクロスを上げるといった選択肢も出てきます。

ワイドに選手を配置して中央のスペースを使う、後ろでパスを回して相手を引き出してから一気に前線にパスを送る。このように相手を動かしてスペースを作る形がコンテの基本的な攻撃スタイルといえます。

今回はこのワンシーンしか紹介できませんでしたが、コンテの攻撃はまだまだ面白い引き出しがあるので機会があればまた記事にしようと思います。

2020年Jリーグで一番使われたフォーメーションは?

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2020年の川崎フロンターレはフォーメーションを4-3-3に変更して大成功を収めました。Jリーグでよく使われるフォーメーションといえば、ミシャ式の3-4-2-1かなと個人的には思うのですが、実際に一番使われたフォーメーションは何だったのでしょう。

今回は2020年のJ1全チーム全試合の試合開始時のフォーメーションを調べ、どのフォーメーションが一番使われたのかランキング形式で紹介していきます。

注意点

・データはJSTATsを参考。試合開始時のフォーメーションを集めたものであり、試合途中の変更は考慮されていない。

・下記のフォーメーションは同じものと計測する。3-4-2-1と3-4-3、4-3-3(逆三角形)と4-1-4-1。

・ここでの4-3-3は中盤が逆三角形のもの。正三角形の4-3-3は4-2-3-1に区分されている。

5位 3-3-2-2(67回)

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使用したチーム…湘南、G大阪など

ガンバが前半戦、湘南はシーズン通して採用した布陣。2トップ+2インサイドハーフで中央を崩しやすいフォーメーションだが、3バック+1ボランチの形はビルドアップに苦労しがち。ガンバの宮本監督は2インサイドハーフバイタルエリアに配置して流動的なパスワークを展開した。

4位 4-2-3-1(97回)

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使用したチーム…名古屋、横浜FM、柏、清水など

オーソドックスな布陣だが、意外にも使われた回数は少なかった。シーズンを通して使用したのは名古屋くらいで横浜FMも18回の採用にとどまった。トップ下が攻撃の核となるのは、名古屋の阿部、マリノスのマルコス、柏の江坂といったメンツを見ればわかりやすいが、トップが1枚なので裏抜け専門のFWを置かないと手詰まり感のある攻撃になってしまう。守備の時は4-4-2にも変化できるのでバランスの取れたフォーメーションだ。

3位 4-3-3(102回)

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使用したチーム…仙台、FC東京、川崎F、神戸など

王者が採用した布陣は3位にランクイン。川崎の攻撃に見られるように5レーンの攻撃がしやすく、攻撃に人数を掛けやすいフォーメーションだ。一方、3ボランチで中盤をカバーするのは厳しいので、守備時の配置が課題。川崎はインサイドハーフを1枚上げて4-4-2の形でブロックを形成し、FC東京は4-5-1のような形で守備を行った。ただ、4-5-1は重心が低く、相手に主導権を与える守り方となってしまう。

2位 3-4-2-1(139回)

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使用したチーム…札幌、広島、大分など

いわゆるミシャ式のフォーメーション。シーズンを通して使用しているチームも札幌、広島、大分といずれもミシャが絡んでいる(大分の片野坂監督は広島時代にミシャの下でコーチを務めた)。ミシャ式はサイドでの数的優位が作りやすく、城福監督の広島は3バック+2ボランチでビルドアップが安定するといった長所がある。一方で守備は5-4-1のような形になりがちで、重心はかなり下がってしまう。

1位 4-4-2(196回)

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使用したチーム…浦和、鹿島、横浜FCG大阪C大阪鳥栖など

2020年のJ1リーグで一番使われた布陣はオーソドックスな4-4-2だった。とはいえ、セカンドトップ+ストライカーの2トップも4-4-2に計測されているので4-2-3-1と区別しずらいところもある。基本的にはサイドハーフサイドバックの絡みでサイドを崩すのに長けており、守備時もバランスの取れたフォーメーションだ。可変式のロティーナの布陣は4-4-2に含まれている(JSTATsによれば27試合で使用)。

ちなみに3バックの合計は209回、4バックは403回。4バックが3バックの2倍近く使われている。

番外編 

ここからは今季のJ1で数回した使われなかったレアなフォーメーションを紹介

・4-3-1-2(5回)

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柏が3回、鹿島が2回採用した。2トップの下にトップ下を置けるのが強みだが、守備時は3ボランチで中盤を守らなければいけないので苦労する。

・3-4-1ー2(3回)

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柏が2回、札幌が1回採用した。こちらも2トップ+トップ下の布陣にできるのが強みだが、守備時は2ボランチで中盤をカバーしなければならないので大変。ネルシーニョさんは2トップ+1トップ下の布陣が好みなのかな

・4-3-2-1(3回)

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マリノスが3回採用。いわゆるクリスマスツリー型の布陣で、並びが綺麗だからウイイレで一度はやってみたくなるやつ。攻撃も守備も中央偏重になりがちで大変。近年まともに使用しているチームを見たことがない。

最後に今回のまとめに使った表を置いておくので暇な方は眺めてみてください。

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 データ引用元 https://www.football-lab.jp/

2020シーズンの横浜FCで一番「仕事した」ストライカーは誰?

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ついに2020年のJリーグも閉幕しました。色々な話題があった中でもキングカズの最年長出場はインパクトを与えるニュースでした

今季の横浜FCはカズに限らず、ストライカーを固定せずに戦っていた印象。調べてみると、途中で退団したイバを除けば、カズ、一美、瀬沼、皆川の4人のストライカーが在籍し、そのうちカズを除いた3人はほぼ平等な出場時間を得ています

そこで今回はこの4人のストライカーの今季の成績を比較し、誰が一番「仕事をした」のか調べていきます。(数字はリーグ戦のみ)

エントリーNO.1 三浦知良

・出場試合…4試合(4位/4人中)

・出場試合のうち先発出場した試合…1試合(4位)

・出場時間…68分(4位)

・ゴール…0得点(4位)

・シュート…0本(4位)

・アシスト…0アシスト(4位)

今年は「出ると勝率がいい」とかいろんな理由で出場機会を得たカズ。出場試合数は去年よりも1試合多かった。もちろん数字的には4人中最下位。68分の出場機会でシュートは1本も放てず、ピッチ内で仕事をしているとは言い難い数字だ。だが、カズは出場するだけでニュースになるので、スポンサー的にはニッコリ。ピッチ外では欠かせない存在だろう。

エントリーNO.2 瀬沼優司

・出場試合…19試合(3位)

・出場試合のうち先発出場した試合…8試合(3位)

・出場時間…823分(3位)

・ゴール…3得点(2位タイ)

・シュート…21本(3位)

・アシスト…1アシスト(2位タイ)

皆川より出場機会は少なかったが、ゴール数は皆川と同じ3ゴール。他の数字も皆川と大差なく、少ない時間で仕事をこなしたといえるだろう。3得点の内訳は決勝点(16節名古屋戦)、先制点(21節鹿島戦)、ダメ押し点(34節マリノス戦)と印象に残る得点が多い。

エントリーNO.3 皆川佑介

・出場試合…29試合(2位)

・出場試合のうち先発出場した試合…13試合(2位)

・出場時間…1159分(2位)

・ゴール…3得点(2位タイ)

・シュート…22本(2位)

・アシスト…1アシスト(2位タイ)

29試合の出場、13試合の先発とそこそこ出番をもらいながら3得点はさみしい数字。1159分で3点という数字は90分フル出場を続けて4.3試合に1ゴールの割合。それでも、3得点の内訳は決勝点(11節鹿島戦)、追加点(12節清水戦)、先制点(15節FC東京戦)と、瀬沼と同じく印象的な得点を挙げているのは評価できる。

エントリーNO.4 一美和成

・出場試合…31試合(1位)

・出場試合のうち先発出場した試合…21試合(1位)

・出場時間…1765分(1位)

・ゴール…4得点(1位)

・シュート…53本(1位)

・アシスト…2アシスト(1位)

数字上で「一番仕事した」のは一美。しかし、31試合の出場、21試合の先発で4ゴールというのはストライカーとしてはさみしい結果だ。もちろん瀬沼と皆川に同じく印象的な得点もあるが、好機逸のシーンも垣間見えた。京都での活躍を見て今シーズン期待していた選手だっただけに、来季は大爆発してほしい。

2週間かけてのんきに記事を書いていたらクレーベの獲得が発表されました。個人的には2019シーズンの強烈な活躍が印象に残っているので期待大。今回特集した4人のうち誰が残るかわかりませんが、来季の奮起に期待したい。

 

3ステップで分かるマッシモ・フィッカデンティの守備戦術

あっという間に説明終わりますので、お見逃しなく(笑)

①(守備側の)FW、ボランチの選手は、相手の中央の選手をマークしてボールをサイドに誘導します。

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※赤→守備側 白→攻撃側

②ボールをサイドに誘導したら、守備側のサイドの選手(ウイングもしくはサイドバック)は、縦パスのコースを切ります。

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③サイドで縦へのコースを切られた攻撃側は中央にパスを送るしか選択肢がなくなるので、中央の選手にマークを付いて、入ってくるパスを狙ってインターセプトします。

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重要なことは中央の選手をしっかりとマークすることです。①の段階で中央で人数不利になってボールをサイドに誘導できないと後手後手に回ってしまいます。同じく③の場面でも中央のマークが外れていて簡単にパスを通されると、逆にピンチを招くことになります。

また、サイドの選手の対応もとても大切です。②の場面で縦へのコースを切る役割を果たせないといけません。中途半端な対応で縦にドリブル突破されると、後手後手の対応になります。

マッシモの守備は細かい点を見ると、もっと決め事はありますが、ざっくり見るとこのような感じでしょう。先日のフロンターレ戦ではこの守備がばっちり機能していました。引いた形でフロンターレの攻撃を防いだのはさすがマッシモといったところ。気になった方は見逃し配信で見てみてください。特にシミッチと稲垣の動きを見ると、分かりやすいかと思います。

 

【Jリーグ再開】VARのないサッカーが楽しい話

 

ついにJリーグ再開しましたね

コロナの影響でVAR導入は延期されましたが、逆になくてよかったかなと感じます

決定機を迎えても、オフサイドディレイが気になってワクワク感が半減したりとか、素晴らしいゴールが決まっても㎝単位のオフサイドで取り消しになったりとか。

今のVARのシステムはサッカーのワクワク感をなくしているデメリットが、判定の正確さというメリットを上回っているように感じられます。

川崎と鹿島の試合でひどい誤審はありましたが、、、体一つ分出るオフサイドからようやく見るくらいのゆるい運用にならないですかね

個人的にはゴールラインテクノロジーのように一瞬でオフサイドが判別できるようなシステムができるまではVARでオフサイドを見るべきではないと思います。

とにかくVARのないJリーグを見ると、㎝単位でオフサイドを見ている今の欧州サッカーにはない、サッカーを見る面白さを思い出したように思います。

怪我の功名ってやつですかね

Win-Win-Winなピャニッチのバルセロナ移籍

連日ピャニッチの移籍話が話題になっていますが、おそらくガセではないですよね。

と思うのも、この移籍話はバルセロナ、ユーべ、ピャニッチ三者にメリットのある取引だからです。

まずバルサからすると、ビダルラキティッチが去就不明なのに加えて、アンカーを務められる人材がブスケツとデヨングしかいません。デヨングをIHのポジションで使いたいとなると、ブスケツ一人では不安なところもありますし、レジスタ的なボランチが一人ほしいところだと思います。その中でピャニッチというのは最高の選択肢でしょう。経験、実力ともにバルサにふさわしいですし、ユーベから干されかけているので金額も安く済むはずです。ついでにラキティッチデンベレなどの不要要員をユーベに押し付けてピャニッチの移籍金を安くしたいと考えてるかもわかりません。

ユーベ側からすると、ピャニッチのパフォーマンス低下とベンタンクールの成長によってピャニッチの序列が落ちてきたこともあり、今が売り時だと考えているはず。中断直前のイタリアダービーでもベンタンクールはキレキレで、私はIHが適性の選手なのかと思っていましたが、レジスタのポジションであそこまでのパフォーマンスが出せるとは思っていませんでした。とはいえ、ピャニッチが抜けるとレジスタのポジションに一人選手を補強したいところですが、チェルシージョルジーニョブレシアのトナーリなどピャニッチの売却額を使っても黒字で取れそうな候補が複数いるので今夏で売りたいと思っているでしょう。

ピャニッチからしても、出番が少なくなってきたタイミングでのバルサ移籍は最高のチャレンジになるはず。年齢も30になり、移籍するならこのタイミングを逃すことはないでしょう。

バルサとユーベの間でトレードも含めてどんな取引になるのかわかりませんが、これは是非成立してほしい移籍。私はピャニッチのプレーが大好きなのでぜひバルサレジスタを務めるピャニッチが見たい(願望)

アストンヴィラ0-0ウェストハム【プレミアリーグ第5節】備忘録

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・フォーメーション

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・試合内容

 両チームとも4-3-3のフォーメーション。インサイドハーフの選手が積極的に飛び出すなど攻撃は共通点も多いが、ヴィラのほうが縦への意識が強いか。守備ではヴィラは前線から連動してハメに行く姿勢。対するウェストハムは4-1-4-1のブロックを作って守る。

 ウェストハムは手数を掛けて攻撃を組み立てるが、崩しきれない場面が目立つ。ヴィラはナカンバが2CBの前でゲームを作り、インサイドハーフのグリーリッシュ、マギンも絡みながらチャンスを作っていく。

 67分にウェストハムの左SBマスアクが2枚目のイエローで退場。ヴィラは数的優位となり、攻め立てようとするが、前に出る姿勢が強すぎたか、パスミスを連発。退場前より攻撃が機能しなくなる。逆にウェストハムはカウンターが増えて退場後にチャンスが増加。かなりオープンな展開となったが、ファビアンスキのビックセーブも光ってスコアレスドローに終わった。

 

・目立った選手

・ナカンバ(ヴィラ)

攻撃では細かいタッチと正確なパスでリズムを作り、守備でも幾度となく相手のチャンスをつぶした。MVPの活躍。

・マギン(ヴィラ)

左足から繰り出される正確なボールとダイナミックな動きで貢献。惜しいミドルシュートも。

・ミングス(ヴィラ)

安定した守備と正確なビルドアップが光った。今後注目のCB。

・ライス(ウェストハム)

前半はそんなでもなかったが、後半はボール奪取、展開力、キープからの推進などで光るプレー。

・マスアク(ウェストハム)

攻撃ではアクセントをつける動きもあったが、守備はまずいプレーを連発。しまいには退場。

ここ5年での「Jリーグ国内電撃移籍」5選

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藤本 憲明が神戸に電撃移籍。ここ数試合はスタメンから外れていたとはいえ、突然の移籍に驚かされた。今回はここ5年ほどの国内移籍の中で、特に印象的だった移籍を5件ピックアップしてみた。


大久保 嘉人 川崎FFC東京 16年~17年冬
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13~15年の3年連続得点王に熱心にラブコールを送っていたFC東京。それに応えた大久保は16年のオフに川崎との契約を延長せず、鳴り物入りでライバルチームに移籍した。結果は28試合8ゴールと期待以下の成績に終っただけでなく、ピッチ上で常にイライラする姿をカメラに抜かれたり、負けた試合後にユニフォームを蹴りあげるなど悪い印象だけを残して翌シーズンには川崎に帰っていった。


山口 螢 C大阪→神戸 18~19年冬
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16年にドイツから戻ってきた際にはセレッソ愛を強調し、18年からはキャプテンに就任した。しかし、翌年には神戸に電撃移籍。ビジャやサンペールの加入で新加入感がなぜか薄れたが、中盤のフィルターとしてだけでなく、パスの配給役としてもJリーグトップレベルのプレーを披露し、降格圏スレスレのチームで奮闘している。


金崎 夢生 鹿島→鳥栖 18年夏
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18年の金崎は確かにプレー時間が減っていた。しかし、そのシーズンから伝統の10番を任されたことや、チームが4冠を狙っていた時期だったことから、まさか残留を争う鳥栖に移籍するとは考えられなかった。10番を半年で捨てた金崎は鳥栖に来てからの35試合で6ゴールと本来の得点力を生かせず。対する鹿島は、金崎とのトレードで加入したチョンスンヒョンがACL制覇に貢献するなど結果的には得をした取引となった。


中村 俊輔 横浜FM→磐田 16~17冬
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フリューゲルス時代から国内ではマリノス一筋13年だった俊輔が移籍するというニュースは衝撃だった。この時期のマリノスのフロントは1シーズン4得点に終わるストライカー、カイケを高年俸で連れてきては、中澤に年俸半減を提示するなど大迷走。俊輔もフロントに不信感を抱いてジュビロに去っていった。この夏からはライバルの横浜FCに加入。左足から放たれる輝きをもう一度見たい。


齋藤 学 横浜FM川崎F 17~18冬
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マリノスの下部組織出身で17年にはキャプテンと10番を中村俊輔から受け継いだ斎藤学。シーズン終盤に膝の大ケガを負い、サポーターからも復帰を待ち望まれていたが、横浜FMとの契約を延長することなくライバルチームの川崎に移籍していった。当然マリノスサポーターは憤慨。斎藤学マリノス戦に出場する度に大きなブーイングを浴びせている。

J1リーグ前半戦ベストイレブン

J1リーグも1~2週間の中断期間が明け、後半戦に突入。8/9には後期の日程も発表されるとのことで、わたくしの独断と偏見で前半戦のJ1ベストイレブンを選出しました。選考基準は以下の通り。

・前半戦(20節まで)のほぼ全ての試合に出場
・私が見てたチームや試合が中心

この選手がいないという不満は受け付けません!(笑)

では、早速GKから

GK 高木 駿 (大分)
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J1で旋風を起こした大分を最後方から支えた。相手を引き付けてからショートカウンターを狙うチーム戦術の中で、何度か決定的なパスミスを犯したとはいえ、足元の技術を生かして正確なビルドアップを行う高木の存在は欠かせないだろう。


DF マテイ ヨニッチ (C大阪)
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杉本と山口を引き抜かれて苦戦が予想されたC大阪だったが、組織的な攻撃とJ1屈指の守備力で上位に食い込んでいる。そのJ1屈指の守備の中心はマテイ ヨニッチだ。圧倒的な対人の強さとスピードであらゆるチームのストライカーを封殺。13節のFC東京戦では、永井とディエゴの強力2トップに仕事をさせずにFC東京に初めて土を付ける立役者となった。


DF 谷口 彰悟 (川崎F)
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高い位置からの守備ではJリーグトップレベルのプレッシャーを掛けるフロンターレ。手薄になりがちな最終ラインを谷口は難なくカバーする。冷静な対応でピンチの芽を積み、正確なビルドアップにも貢献できるJ1屈指のセンターバックは今季も好パフォーマンスを継続している。


DF 福森 晃斗 (札幌)
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Jリーグ屈指のプレスキッカーである福森。今季も8節の横浜FM戦で見事な直接FK弾を沈めるなど存在感を放つ。プレスキッカーとしてだけではなく、ビルドアップ時にはボランチのようなポジションをとり、数多くのラストパスを供給するなど正確無比の左足を存分に生かしている。


MF ジョアン シミッチ (名古屋)
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今は長いトンネルに入り込んでしまったが、少なくとも序盤の風間グランパスのサッカーは素晴らしかった。風間サッカーの柱となるボランチで輝きを放ったシミッチ。Jトップクラスのパス精度でチャンスを創出し、米本の影に隠れがちだが、守備への貢献度も高く、当たりの新外国人選手となった。


MF 田中 碧 (川崎F)
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今季最大のサプライズと言っても過言ではない選手。攻撃時には2センターバックの間に入ってビルドアップを行うことが多いが、ハイプレッシャーを掛けてくる相手を難なくかわし、正確な縦パスを供給する。守備も卒なくこなし、フロンターレにとって欠かせない選手の1人となった。


MF レオ シルバ (鹿島)
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全盛期のレオシルバはヨーロッパでもバリバリやれそうだったが、今季も衰え知らずの好パフォーマンスを発揮。柔らかいボールタッチから繰り出される長短を交えたパス、ボールを絡めとるタックル、全てが一級品だ。6節の名古屋戦ではメッシを彷彿とさせるような敵陣を切り裂くドリブルからゴールを決めた。


MF 柏 好文 (広島)
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開幕7戦負けなしから5連敗したかと思えば、15節からまた7戦負けなしで、川崎Fまで破るなど上下動の激しい広島。その中でも安定したハイパフォーマンスを継続しているのが柏だ。サイド攻撃の起点として効果的な縦パスを配給しながら、果敢にドリブルを仕掛けて相手DFの脅威に。左サイドからカットインしてのシュートは正確で、ウィングバックの位置ながら、すでに6得点を挙げている。


FW 仲川 輝人(横浜FM)
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昨季は苦しんだマリノスだったが、今季は躍進。ポステコグルーのサッカーの中で重要なウェイトを占めるウィングのポジションの最適解は仲川だろう。圧倒的スピードで相手の最終ラインの裏に抜け出し、スピードに乗ったドリブルで数多くのチャンスを作り出した。8得点もさることながら5アシスト
と結果を残している。


FW ディエゴ オリヴェイラ (FC東京)
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身長は高くないが、強靭なフィジカルで相手の激しいチェックが来てもポストプレーを難なくこなし、スピードに乗って最終ラインの裏に抜け出し、正確なシュート技術で20節までに10得点。守備もサボらずに行うまさにオールマイティーなFWだ。今季は重要な試合での得点も多く、首位チームを引っ張る欠かせない存在だ。


FW 永井 謙介 (FC東京)
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20節までで7得点と、7得点以上を挙げた選手は他にもいるが、先制点や決勝点など印象強い得点を挙げている永井。スピードを生かした裏への抜け出しはもちろん、決定力も向上した。スピードに乗ってボールを追いかけ回す守備も印象的。永井がトップスピードでプレスを掛けて来たらDFは脅威だろう。


フォーメーションはこんな感じ

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各ポジションいい選手が多くて選考に悩みましたが、独断と偏見ということでお許しいただきたい(笑)

Jリーグ後半戦も楽しみですね☺️