蹴球雑事記

サッカーについての雑なブログ、雑事記

新しいビルドアップの形を披露したミラン【カリアリ戦レビュー】

普段は4-2-3-1のフォーメーション通り、2ボランチが並ぶ形でビルドアップを行っているミランですが、カリアリ戦ではビルドアップ時に限ってトナーリがアンカー、その前にケシエとブラヒムが並ぶ4-3-3の形になっていました。

ミランビルドアップ時の布陣

f:id:jzatsujiki:20210119072742p:plain

カリアリのフォーメーションはクリスマスツリー型の4-3-2-1。カリアリが準備してきた守備は、2シャドーのペレイロジョアンペドロにミランの2ボランチをマークさせ、3ボランチの左右のダンカンとマリンにミランのSBをマークさせる形だったと思います。

f:id:jzatsujiki:20210119073434p:plain

しかし、ふたを開けてみると、ビルドアップ時に限ってケシエは一列上がってブラヒムと並ぶ形に。これによってトナーリはペレイロジョアンペドロの中間に宙ぶらりんの状態でポジションを取ることができ、カリアリのアンカーのナインゴランはケシエとブラヒムの2人を見なければならなくなり、中盤で数的優位を作りだすことに成功しました。

これがピオーリの狙いだったとすれば一見うまくいったように見えますが、実際この試合のミランはビルドアップに苦戦していました。その理由はSBにボールが渡った際のボランチのサポートが不足していたからです。

f:id:jzatsujiki:20210119074422p:plain

普段SBにボールが渡った際には2ボランチのどちらかが横のサポートに入ります。ボランチが2枚いると、サイドへのサポートにすぐに入れる利点があります。ところがこの日のサポート役はトナーリ1枚だったため、必然的にサイドへのサポートが遅くなり、SBの選手が孤立してロングボールを前線に蹴り出すシーンが多くなりました。

SBにボールが渡った際にトナーリがサポートに入るのではなく、ブラヒムやケシエが下りてきてサポートに入ればこの問題は解決できるのですが、そのような形はほとんど見られませんでした。この新しいビルドアップの形がカリアリ対策のものだったのか、それとも次のアタランタ戦もこれを試すのか興味深いところです。